🎯この法律のポイント
毎月の給料を上げ、初任給は9,500円上がる
国家公務員の給料の額は、役職や経験年数ごとに表で決まっています(俸給表)。
これらの表をすべて引き上げ、民間の会社との給料の差がなくなる水準にします。2026年4月にさかのぼって上がります。
働き始めたばかりの人の給料(初任給)は9,500円上がります。
たとえば大学を卒業して採用された人の初任給は、総合職で月251,500円、一般職で月241,500円になります。
定年のあとに改めて採用されて働く人(再任用職員)の給料は、平均8.5%上がります。
ボーナスを1年で0.05か月分増やす
国家公務員のボーナスは今、1年で給料の4.65か月分です。これを4.70か月分に増やします。
各省庁の本部の部長や審議官以上の幹部(指定職職員)も、3.50か月分から3.55か月分に増えます。
ボーナスは、期末手当と勤勉手当という2つの手当でできています。
増える分は、この2つに半分ずつ分けます。2026年度は12月のボーナスでまとめて増えます。
2027年4月から、転勤で引っ越した人に転居手当を出す
今、転勤で引っ越した人が毎月もらえる手当は、家族と離れて1人で暮らす人(単身赴任)向けの単身赴任手当に限られます。
2027年4月から、家族と一緒に引っ越した人なども対象に、毎月の転居手当を出します。
対象は、元の家から新しい職場に通うのが難しく、元の家から一定の距離以上離れた人です。
支給は異動の翌月から3年間で、3年を過ぎると終わります。単身赴任の人は、単身赴任手当が出ている間もらえます。
法律が決めるのは月額の上限で、単身赴任ではない人は43,000円、単身赴任の人は105,000円です。
距離ごとの具体的な額は、人事院が決めるルール(人事院規則)で定めます。
人事院の示した例では、東京から大阪への転勤で年に約22万円、単身赴任なら約49万円です。
単身赴任手当のうち、距離に応じて上乗せしていた分はなくなり、転居手当に置き換わります。
遠くへ転勤した人への手当の割合を上げる
60km以上離れた職場に転勤した人には、給料に一定の割合を上乗せする手当があります(広域異動手当)。
この割合を、300km未満は5%から8%に、300km以上は10%から16%に上げます。2026年4月にさかのぼって上がります。
2027年4月から、理由を問わず年7日まで取れる無給の休みを作る
2027年4月から、理由を問わず1年に7日まで取れる、給料の出ない休み(年次無給休暇)を作ります。
今も、休んでも給料が出る休み(年次休暇)は、理由を問わず取れます。ただし、日数に限りがあります。
病気の休みや介護の休みなど、ほかの休みは、決まった理由がないと取れません。
そのため、年次休暇を使い切ったあとに休むと、休みとは認められず、欠勤の扱いになります。
新しい休みは、年次休暇とは別に取れます。
この休みを取ると、休んだ時間の分だけ給料が減ります。
休みを取るには、各省庁の長の承認が必要です。
ただし、仕事に差し支える場合など人事院規則で決める場合を除いて、各省庁の長は承認しなければなりません。
今の年次休暇は、年次有給休暇という名前に変わります。
2027年4月から、休日に働いた時間と同じだけ別の日に休めるようにする
今は、祝日や年末年始に丸1日働いた場合にだけ、別の日に代わりの休み(代休)を取れます。
1日に満たない時間だけ働いた場合は、休日に働いた分の給料が支払われます。
2027年4月から、休日に働いた時間と同じ時間数を、別の日に休めるようにします。
土日に働いた分を別の日に振り替える仕組みは、今は1日か4時間の単位でしか使えませんが、時間単位で使えるようになります。
2027年4月から、高い専門性を持つ人のボーナスの上限を見直す
弁護士や公認会計士など、高い専門性を持つ人を、期間を決めて採用する仕組みがあります(特定任期付職員)。
2027年4月から、特に必要な場合は、人事院の承認を受けて、勤勉手当を今の上限より多く出せるようにします。
人事院は、給料などを合わせて、最高で年に約3,380万円の水準が可能になると説明しています。
ほかの手当の上限も上げる
国立ハンセン病療養所や刑務所などで国家公務員として働く医師・歯科医師の、初任給に上乗せする手当や、宿直・日直の手当などの上限額を上げます。
2026年4月にさかのぼって上がります。
✏️この法律が必要とされる理由
国家公務員の給料を民間の給料に合わせるため
国家公務員は、働く人がまとまって給料などを交渉する権利(労働基本権)が制限されています。
その代わりに、人事院という国の機関が毎年、民間の会社の給料を調べています。
そのうえで、国家公務員の給料を民間に合わせるよう、国会と内閣に求めています(人事院勧告)。
2026年の調査では、国家公務員の毎月の給料が民間より15,056円(3.51%)低くなっていました。
ボーナスも、民間の4.72か月分に対して、国家公務員は4.65か月分でした。
国家公務員の給料の額は法律で決まっているため、勧告どおりに上げるには法律を変える必要があります。
新しく働く人を確保するため
人事院は、民間の会社の動きや、働く人を確保することの重要性をふまえて、初任給を9,500円上げるとしています。
転勤による引っ越しのお金の負担を軽くするため
人事院は、引っ越しを伴う転勤のお金の負担を軽くし、必要な職場に人を配置しやすくする必要があると説明しています。
そのために、単身赴任の人に限らず、引っ越した人を広く対象にする手当が必要だとしています。
事情に合わせて働けるようにし、長く働きすぎる状態を改めるため
人事院は、育児や介護に限らず、さまざまな事情を抱える職員が働き続けられるようにする必要があるとしています。
たとえば、介護が必要になる前の親の体調の変化や、災害で家が壊れたときの対応が想定されています。
子どもの小学校入学に伴う生活の変化(いわゆる小1の壁)や、妊娠中の体調の変化なども挙げられています。
無給の休みは、今ある休みを使い切った職員の支えになります。
時間単位で使えば、しばらくの間、短い時間で働くこともできます。
代休の見直しは、長く働きすぎる状態を早く改めるため、職員が働く時間の合計を減らすことが目的です。
👀意見が分かれるところ
物価が上がる中で、今回の引き上げ幅は十分か
月給が2年続けて3%を超えて上がり、俸給表の全体が上がる点を評価する意見があります。
一方で、物価が長く上がり続けて職員の暮らしが苦しくなる中では、引き上げ額が足りないという指摘もあります。
国家公務員の給料の変化は地方公務員などにも広がるため、影響の大きさに比べて引き上げ率が低いという意見もあります。
ボーナスの増える分を、成績に応じて出る手当にも分けてよいか
今回は、ボーナスの増える分を、期末手当と勤勉手当に半分ずつ分けます。
これに対し、勤勉手当は成績に応じて出る手当なので、生活費を補う期末手当に多く分けるべきだったという意見があります。
転勤の手当を増やすより、転勤そのものを見直すべきではないか
転居手当を作り、広域異動手当を増やすことで、転勤によるお金の負担は軽くなります。
一方で、引っ越しや単身赴任を前提にした、遠くへのひんぱんな転勤が必要かを問い直すべきだという指摘があります。
公務員を目指す人が減る流れを止めるには、その見直しが必要だという考え方です。
人事院の資料では、転居手当の支給は異動から3年間で、単身赴任の人はやむを得ない場合に延ばせるとしています。
これについて、単身赴任の人も3年間とすることは、働く条件を悪くする変更だという心配の声もあります。
定年後に働く人や非常勤の人の待遇は十分に良くなるか
再任用職員の給料は平均8.5%上がります。
一方で、再任用職員のボーナスが、常勤の職員の約半分のままだという指摘があります。
非常勤の職員について、寒い地域で出る手当(寒冷地手当)などの扱いに触れていないことを問題だとする意見もあります。
よくある質問
Q. 給料の引き上げはいつから反映されるのか
A. 毎月の給料と広域異動手当などは、2026年4月にさかのぼって上がります。
ボーナスの引き上げは、2026年12月のボーナスからです。
転居手当、年次無給休暇、時間単位の代休は2027年4月から始まります。
Q. 地方公務員の給料はどうなるのか
A. 地方公務員の給料は、それぞれの自治体が決めます。この法案の対象ではありません。
政府は、各自治体が地方公務員法の考え方に沿って適切に対応するよう求めるとしています。
この法案では、法律で決まっている自治体の手当の種類に、転居手当と広域異動手当を加えます。
🙋影響を受ける人
- この法律で給料が決まる国家公務員(約28.6万人):給料とボーナスが上がり、新しい休みを使えます。
- 国家公務員を目指す人:初任給が9,500円上がります。
- 再任用職員:給料が平均8.5%上がります。
- 転勤で引っ越す職員:単身赴任でなくても、転居手当を受け取れます。
- 特定任期付職員:勤勉手当を今の上限より多く受け取れる場合があります。
- 地方自治体:給料の見直しに適切に対応するよう、政府から求められます。
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