🎯この法律のポイント
大臣や委員会の委員などの月給を約3%上げる
首相や大臣、会計検査院長、大使などは、「特別職」とよばれる国家公務員です。
それ以外の一般の公務員(総合職・一般職などの採用区分を問いません)の給与も法律の給与表で決まっていて、人事院の勧告をもとに見直されます。
特別職は人事院の勧告の対象外で、役職ごとの月給の額を別の法律で決めています。
特別職の月給を、一般の公務員の幹部である本省の部長・審議官級以上の職員に合わせて、約3.0%上げます。
金額では月2万5,000円〜6万3,000円の引き上げで、最も上がるのは首相の月給です。
2026年4月にさかのぼって新しい額にし、それまでに払った額との差額を支払います。
首相や大臣を支える秘書官の月給も上げる
首相や大臣の仕事を近くで支える秘書官の月給を、一般の職員に合わせて2.8〜4.1%程度上げます。
一般の公務員から続けて秘書官になった人の月給の上限も引き上げます。
こちらも2026年4月にさかのぼって新しい額にします。
ボーナスを年3.50か月分から3.55か月分に
秘書官以外の特別職のボーナス(期末手当)を、一般の公務員の幹部に合わせて、1年で月給の3.50か月分から3.55か月分に増やします。
2026年は、6月にすでに払ったボーナスはそのままにして、12月のボーナスを増やします。
2027年4月からは、6月と12月に同じ割合で払います。
秘書官のボーナスは一般の公務員と同じルールで決まる仕組みのため、この法律では変えません。
秘書官にも引っ越しを伴う転勤の手当を払う
一般の公務員について、引っ越しを伴う転勤をした人に払う手当(転居手当)を2027年4月に新しく作る法案が、同じ日に国会に出されています。
この法律では、秘書官にも一般の公務員と同じように転居手当を払います。
国際園芸博覧会の政府委員の月給も上げる
2027年に開かれる国際園芸博覧会で日本政府を代表する政府委員が、外務省に1人置かれています。
政府委員の月給は、専用の法律で金額を直接決めています。
この額も他の特別職と同じように、月122万4,000円から126万1,000円に上げます。
国会議員を兼ねる大臣などに上乗せ分を払わないルールは続ける
国会議員が首相や大臣、副大臣などを兼ねる場合、本来は大臣などの給与が議員の給与(歳費)より多い分を、上乗せして受け取れる仕組みです。
2025年の法改正で、この上乗せ分を当分の間払わないことになりました。
この法律は、このルールを変えません。
給与を受け取らない委員への1日ごとの手当の上限も上げる
公正取引委員会などの常勤の委員の中には、ほかの仕事をしたり事業を営んだりしている人もいます。
その仕事などでの所得が年700万円を超える人には、月給やボーナスを払わないことが法律で決められています。
その代わりに、働いた日ごとに1日単位の手当が払われます。
この手当の上限額を、1日3万5,700円から3万6,800円に上げます。
✏️この法律が必要とされる理由
民間の給料が上がり、一般の公務員の給与も上がるから
2026年8月、国家公務員の給与について国に意見を伝える人事院が、一般の国家公務員の月給が民間の会社員より1万5,056円(3.51%)低いとして、この差をなくすよう求めました(人事院勧告)。
ボーナスも年4.65か月分から4.70か月分に上げるよう求めています。
政府は2026年10月9日に求めどおり上げることを決め、一般の公務員の給与を上げる法案を同じ日に国会に出しました。
特別職の給与は法律を変えないと上がらないから
首相や大臣、委員会の委員などの特別職は人事院勧告の対象ではなく、給与の額は特別職給与法という法律で直接決められています。
そのため、一般の公務員の給与が上がっても、法律を変えなければ特別職の給与は変わりません。
政府は、特別職の給与は仕事の責任に応じつつ、一般の公務員や他の特別職とのバランスも考えて決めるのが適切だとしています。
そこで、一般の公務員の幹部の月給が3.0%上がるのに合わせて、特別職の月給も上げます。
国際園芸博覧会の政府委員の給与は別の法律で決まっているから
政府委員も特別職ですが、月給の額は特別職給与法ではなく、博覧会のための専用の法律で決められています。
他の特別職と同じように上げるには、この法律もあわせて変える必要があります。
👀意見が分かれるところ
特別職の給与を大臣たちの会議で決める仕組みでよいか
特別職の給与は、総務大臣や財務大臣などが集まる会議で話し合い、大臣全員の会議(閣議)で決めてから、法案として国会に出されます。
過去の国会では、大臣が自分たちの給与を決める形になっているとして、外部の人が決める機関を作るよう求める質問が出されました。
政府は、大臣たちの会議で話し合い、閣議で決めているとして、外部の機関を作ることは考えていないと答えています。
物価が上がる中で大臣などの給与を上げることに理解は得られるか
政府は、特別職と一般の公務員とのバランスを保つため、一般の公務員に合わせて上げるとしています。
一方、過去に特別職の給与を上げたときには、首相や大臣などの給与を上げずに据え置く修正案が出されたこともあります。
物価の上昇に給料の伸びが追いつかない中で、首相や大臣の給与を上げても国民の理解は得られない、という意見です。
今回は国会議員を兼ねる大臣などに上乗せ分が払われないため、実際に給与が増えるのは、国会議員でない特別職が中心になります。
大臣などに上乗せ分を払わないルールを「当分の間」のままでよいか
国会議員を兼ねる大臣などに上乗せ分を払わないルールは、2025年の法改正で「当分の間」のものとして作られました。
このルールを評価する意見がある一方、物価が下がり続けた時代(デフレ)の発想だとして疑問を示す意見もあります。
今回の法案は、大臣などの月給の額を上げつつ、上乗せ分を払わないルールは続けます。
決められた月給の額と実際に払われる額が違う状態をいつまで続けるか、ずっと続く制度にするかが今後の課題です。
よくある質問
Q. 首相や大臣が受け取る給与は増えるのか
A. いいえ、国会議員を兼ねている首相や大臣などの場合は増えません。
2025年の法改正で、国会議員である大臣などは当分の間、議員の歳費だけを受け取ることになったためです。
ただし、国会議員でない人が大臣になった場合は、新しい月給の額が払われます。
Q. 国会議員のボーナスも上がるのか
A. いいえ、当面は上がらない仕組みです。
国会議員のボーナスは、特別職のボーナスの割合を使って計算されます。
ただし2026年5月の法改正で、次の期間は2024年に変える前の割合を使うと決められました。
- 2028年7月31日まで。
- それまでに衆議院が解散されたときは、解散した月の末日まで。
このため法律の文面上、この期間は今回の引き上げが議員のボーナスに反映されません。
🙋影響を受ける人
- 国会議員でない特別職(大使や委員会の委員など):月給が約3%上がり、ボーナスも増えます。
- 国会議員を兼ねる首相や大臣など:月給の額は上がりますが、受け取る額は議員の歳費のままです。
- 秘書官:月給が2.8〜4.1%程度上がり、2027年4月から転居手当も受け取れるようになります。
- 国際園芸博覧会の政府委員:月給が122万4,000円から126万1,000円に上がります。
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